来年4月から、食品の消費税を1%にする。
そんな話が現実味を帯びて出てきています。
軽減税率8%は、新聞だけにそのまま残すのでしょうか。 そして、食品を「0%(非課税)」ではなく、あえて「1%」として残す意味とは、一体何なのでしょうか。
減税そのものに反対したいわけではありません。 物価高が続く中、生活に直結する食品の負担が軽くなること自体は、歓迎する方も多いと思います。
ただし、税率の数字を一つ変えることで、現場の事業者に「何が起きるのか」。 そこまで含めて設計されなければ、決して公平で健全な制度とは言えません。
現在でも、中小企業の経理の現場は限界に近い状態です。
- 10%(標準税率)
- 8%(軽減税率)
- 非課税
- 不課税・対象外
- 免税事業者等からの仕入れ(経過措置のパーセンテージ計算)
日々の取引ごとにこれらを判断し、区分して処理しています。
ここへ、さらに「食品1%」という新しい区分が加わればどうなるか。
商品マスターの書き換え。 レジや販売システムの改修コスト。 請求書やインボイスフォーマットの再変更。 会計ソフトの税区分設定の変更。 現場スタッフへの周知徹底。 そして、入力後のチェックと修正作業。
制度を決める側からすれば、「税率の数値をひとつ動かすだけ」に見えるかもしれません。
でも現場では、会社で最も優秀な経理担当者や社長自身の貴重な時間が、削られ、奪われていきます。
一社ごとの負担は小さく見えても、全国数百万社の中小企業でそれが積み重なれば、国全体で莫大な時間とコスト(損失)です。
その奪われた時間は、本来なら、
売上を増やすこと。 目の前のお客様に向き合うこと。 社員を大切に育てること。 新しい商品やサービスを真剣に考えること。
つまり、「会社の未来をつくるため」に使えたはずの時間です。
バックオフィスの事務負担は、表からは見えにくいものです。 だからこそ、制度がつくられるときに、いつも軽く扱われてしまいます。
しかし、複雑すぎる制度への対応で現場が疲弊すれば、日本の生産性は下がり、巡り巡って国全体の力そのものが削られていきます。
税制の基本は、「公平・中立・簡素」です。 今の議論には、最も大切な「簡素(わかりやすさ)」の視点がすっぽりと抜け落ちているように感じます。
金田崇志税理士事務所とグーチョキ会計株式会社は、ますます複雑化する税制と経理の流れを、AIやクラウド会計を駆使しながら、少しでもサクサク動く形へ整えていきます。
けれど本音を言えば、制度を複雑にした後の泥臭い「尻拭い」を、現場の経理担当者や僕たち税理士が延々と担い続ける社会であってほしくはありません。
減税というアピールの金額だけでなく、その制度を動かすために「誰の、どれだけの時間が奪われるのか」。
制度をつくる側には、そこまで深く、丁寧に考えてほしいと切に願います。
東海市・大府市・知多市・半田市をはじめ、知多半島や名古屋市周辺で、変わり続ける税制やクラウド会計の運用に振り回されず、本業に集中したい社長の隣で、これからも現場の数字と時間を整え続けていきます。
